この一本のカシワの木が全国的な知名度を得たのは、1976年のことだ。日本たばこ産業(当時の日本専売公社)の主力銘柄「セブンスター」のセブンスターパッケージCMの撮影地に起用されたことがすべての始まりだった。テレビ画面越しに広がったあまりにも美しい丘の情景は、瞬く間に日本中の人々の記憶に刻み込まれた。
当時、まだ全国的には無名に近かった美瑛の丘陵地帯だが、景観写真の第一人者である写真家・前田真三がこの地に魅せられ、数々の鮮烈な風景写真作品を発表したことでその魅力が一気に開花した。彼が切り取った光と彩りの世界は、「丘のまち」としての美瑛のブランディングを決定づけた。ただの一本の木ではなく、日本の風景写真文化を象徴する歴史的ランドマークと言える。