舞台や歌唱にとどまらず、アニメーション史においても美輪の存在感は唯一無二だ。スタジオジブリを率いる宮崎駿監督は、美輪の持つ神性と魔性の両義性に早くから魅了されていた。『もののけ姫』における巨大な山犬の神「モロの君」役では、「黙れ小僧!」という一喝に象徴される威厳と哀哀たる母性を見事に演じ分け、映画史に残る名演を残した。
続く『ハウルの動く城』では「荒地の魔女」を熱演。執念深き魔女から無垢な老婆へと変貌していくグラデーションを声だけで表現し、作品に重層的な深みをもたらした。宮崎駿のイマジネーションと美輪の魂の響きが交差したこれらの作品は、今なお世代を超えて世界中で愛され続けている。