美輪明宏のキャリアを振り返る上で、演劇作品との深甚な関わりは見逃せない。かつて三島由紀夫が絶賛し、松竹配給によって映画化もされた映画『黒蜥蜴』で魅せた圧倒的な美の権化としての姿は今なお伝説だ。そして、天草四郎という存在が物語の核となる舞台『魔界転生』をはじめとする歴史劇の世界においても、美輪の存在感は常に特別な意味を帯びてきた。
歴史劇の中で描かれる四郎の悲劇と救済は、美輪が舞台上で体現してきたテーマそのものでもある。演劇という表現媒体を通じて、時空を超えた魂の対話が行われているかのように、観客はそこに深いカタルシスを感じ取ってきたのだ。