天空闘技場で行われたクロロとヒソカのデスマッチは、作中屈指の頭脳戦にして凄惨な幕切れを迎えました。結果はクロロの完全勝利。勝敗を分けた最大の理由は、「100%勝てる条件が整うまで戦わない」というクロロの徹底したリアリズムにありました。
クロロはヒソカに対し、戦う場所として「天空闘技場」を指定し、観客という膨大なリソースが存在する環境を敢えて選びました。コルトピの「神の左手悪魔の右手」で観客のコピーを量産し、「人間の証明」で操り、「転校生」で自身の姿を隠蔽。さらに流星街の長老の念である「番いの破壊者」を刻印して人間爆弾へと仕立て上げました。ヒソカの卓越した戦闘センスをもってしても、数十から数百単位で押し寄せる自爆人形の物量を捌き切ることは物理的に不可能だったのです。
一方で、読者コミュニティやSNS上では長年にわたり「旅団共闘説」が熱狂的に議論されてきました。アンテナの回収手順の不自然さや、マチ、シャルナーク、コルトピが会場付近に待機していた描写から、「実はクロロ単独ではなく、裏で旅団員がアシストしていたのではないか」という仮説です。
しかし、作中のロジックと冨樫義博氏の作劇構造を精査すると、共闘説は成り立ちません。クロロは戦いの冒頭で自ら手品師のように使用能力をすべて開示し、自身の勝利宣言を行っています。これは相手に手の内を明かすことで効果を高める制約の一部であり、他者の介入を前提としたものではありません。シャルナークらの能力を「借りた」こと自体が共闘と誤認されやすい要因ですが、あくまでクロロが1人で複数の能力をシミュレーションし、極限まで組み立てたソロ戦術の極致であったと結論付けられます。