全国の方言調査を概観すると、中央の共通語とはまったく異なる意味で「まんこ」という音韻が使われている地域が存在します。方言周圏論で知られるように、言葉は時代とともに中央から地方へと同心円状に波及しますが、同音異義語としての土着表現も多数記録されています。
例えば、一部の地方方言では「手向(たむけ)」や「お盆の供え物」、あるいは「子どもの愛称」として類似の音が使われていた事例が民俗調査によって報告されています。これらは女性器の名称とは系統が異なる別語源ですが、共通語の普及に伴って誤解や忌避が生じ、次第に使われなくなっていった経緯があります。
また、古代・中世の日本における性器信仰(生殖器を生命力・豊穣のシンボルとして祀る信仰)の場では、生殖に関わる言葉は決して単なる卑俗な対象ではなく、魔除けや五穀豊穣を祈願する神聖な文脈を帯びていました。歴史が進むにつれて儒教的道徳観や近代的な衛生観念が浸透し、かつての呪術的・神聖的な意味合いが削ぎ落とされ、純粋なタブー語へと純化していったという背景が見逃せません。