ピクトグラムに描かれた人物の多くが「左に向かって」走っていることにお気づきだろうか。これには明確な人間工学的根拠が存在する。
右利きの人が圧倒的多数を占める人類社会において、空間を認識する際、視線は自然と左から右へと流れる習性がある。また、横書きの文章を左から読む文化圏では、左側が「起点」、右側が「進行方向」として心理的に定着している。左を向いて走る人物像は、人がすれ違う際や避難経路を探す際に、直感的に視線を誘導しやすい角度なのだ。もちろん、実際の店舗や施設の構造に合わせて右向きの標識も存在するが、基本形として左向きが選ばれた裏には、人体の構造と心理的バイアスに対する徹底した検証があった。