茂木裕人役に抜擢された竹内涼真の存在は、本作のドラマツルギーを完璧なものにした。箱根駅伝のスターでありながら、実業団駅伝で膝を故障し絶望の淵に立たされた若きランナー。怪我からの復帰を目指す中、足袋の技術を応用した「陸王」と出会い、復活へのラストチャンスに賭ける姿は日本中の涙を誘った。
竹内涼真はこの役を演じるにあたり、徹底的な肉体改造とランニングフォームの習得に挑んだ。本物の実業団選手に混ざって過酷な走り込みを行い、無駄を削ぎ落としたアスリートの身体を作り上げたという。その迫真の走りは、エキストラ数千人が詰めかけたロケ現場でも異様な熱狂を生み出した。
挫折の苦しみと、再び走ることへの飢餓感。竹内涼真が見せた鬼気迫る表情と躍動感あふれるフォームは、彼を一躍トップ俳優へと押し上げる決定打となった。ライバルである佐野岳とのデッドヒートは、フィクションの枠を超えた本物のスポーツ競技が持つ凄まじい緊迫感を画面越しに叩きつけた。