なぜ歩いているとき以上に、その場に留まり続ける立ち仕事のほうが足に鋭い痛みが走るのでしょうか。産業医や理学療法士への取材によると、その鍵は静止立位における持続的圧迫と筋ポンプ作用の完全停止にあります。
人間が立っているとき、体重の約1.2倍から1.5倍の荷重が足の裏にかかり続けます。歩行時は交互に足が浮くため血液やリンパ液が循環しますが、静止状態が続くと「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎの筋ポンプが働かず、血液が足元に滞留します。この持続的負荷が立ち仕事で足裏が痛い最大の原因です。
特に発症頻度が高いのが足底腱膜炎です。足のアーチ構造を支える強靭な腱組織に過剰な牽引ストレスがかかり続け、かかとの付着部に微細な断裂と炎症が生じます。この状態を「寝れば治る」と放置すると、炎症を繰り返した腱がかかとの骨を引っ張り、骨がトゲのように突き出る骨棘(こつきょく)が形成され、外科的手術や長期間の休職を余儀なくされるケースも珍しくありません。
部位ごとの痛みのメカニズムと危険信号は下表のように分類されます。
足の甲が痛む場合は、疲労によって土踏まずの骨格が落ち込み、足の甲側にあるリスフラン関節に過剰な圧縮ストレスがかかっているサインです。かかとの痛みは足底腱膜の付着部炎、ふくらはぎの重だるさは静脈鬱滞と、現れる部位によって対処法を明確に分ける必要があります。