国家レベルでも地殻変動は起きている。経済産業省が推進する「人的資本経営」の流れは、企業に対して社員への投資実態を定量的に開示することを義務付けた。社員教育費、多様性の確保、エンゲージメントスコアの開示が投資家の判断材料となったことで、経営陣は従業員を「コスト」から「投資対象の資本」へと再定義せざるを得なくなっている。
これに伴い、「健康経営優良法人認定制度」や民間の「ホワイト企業認定」といった枠組みに注目が集まる。しかし、ここで注意すべきは認定の「取得」そのものが目的化している企業の存在だ。書類上の基準を満たすだけで実態が伴わない企業がある一方で、制度をテコにして現場の労働環境を本気で改革する企業もある。公的シールの有無だけでなく、その裏にある運用実態を見極める鑑識眼が不可欠だ。