インターネット上の掲示板や進路相談サイトでは、「理学療法士は大学を出ていれば高年収が保証される」という言説が散見されます。しかし、医療業界の給与構造を正しく把握していなければ、入職後に手痛い現実を突きつけられることになります。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」などを分析すると、理学療法士全体の平均年収は約430万円前後(初任給は月額22万〜24万円程度)となっており、これは日本の全職種平均とほぼ同水準です。大卒と専門卒の初任給の差は一般的に月額1万〜2万円程度にとどまります。医療保険・介護保険の診療報酬点数は「誰がリハビリを行っても同じ点数」が算定される仕組みになっているため、民間クリニックなどでは学歴による基本給の差を大きくつけにくい構造的要因があるからです。
では、大卒であることの経済的メリットは存在しないのでしょうか。答えは「中長期的な昇進とキャリアの天井」にあります。
大規模な総合病院や公立病院、医療法人グループでは、リハビリテーション科の主任・科長・技士長といった管理職への昇進要件に、学士号の有無や学術論文の執筆実績、学会発表経験が関与してきます。5年後、10年後を見据えたときに、役職手当や基本給の昇給ピッチで専門学校卒との差が広がり、最終的な生涯賃金で大きなアドバンテージを生むケースは珍しくありません。