そもそも『来夢来人』の原点はどこにあるのか。時計の針を少し巻き戻してみよう。
誰もが知る喜劇王チャールズ・チャップリンの不朽の名作『ライムライト』。老いた道化師と若いバレリーナの魂の交歓を描いたあの名作の遺伝子は、海を渡り、日本独自の情緒をまとって昭和歌謡の黄金期に美しく開花した。宇崎竜童が紡ぎ出した哀愁を帯びたメロディラインや、菊池桃子をはじめとする当時の表現者たちが醸し出した儚くも凛とした佇まい。それらは単なる流行歌の枠を超え、ひとつの時代精神として定着していった。
夢を追う者が集い、夢破れた者が去る。その交差点としての「来夢来人」。西洋の古典映画が放つ光と、日本の路地裏に漂う昭和の情愁が奇跡的な融合を果たしたからこそ、この物語は時代を超越した強度を誇っているのだ。