瀬戸内寂聴さんの経歴を語る上で欠かせないのが、若い頃の激しい情熱と泥沼の恋愛遍歴です。東京女子大学国語専攻部に在学中の1943年、見合い結婚をした夫の赴任先である中国・北京へと渡り、長女を出産します。しかし終戦後に帰国した徳島で、夫の教え子だった青年と恋に落ち、夫と3歳の幼い長女を捨てて家を出るというセンセーショナルな出奔劇を起こしました。
その後、京都や東京で本格的な作家活動をスタートさせますが、作家の小田仁二郎氏との同棲や、妻子ある作家・井上光晴氏との長年にわたる不倫関係など、自らの情念に翻弄される日々が続きます。これらの生々しい体験を赤裸々に昇華させて執筆された小説『夏の終り』は、第2回女流文学賞を受賞し、作家としての地位を確固たるものにしました。