長年のわだかまりが決定的なものとして世間に知れ渡ったきっかけが、2000年代半ばに放送されたバラエティ番組『トリビアの泉』だった。番組内で「キン肉マンに贈られた特製の名入れどんぶり」が紹介された際、吉野家側が番組用として急遽制作したような印象を与えてしまったのだ。
嶋田隆司氏は後に、自身が本当に欲しかったのは単なる金品ではなく、作品が企業の苦境を支えたことに対する一言の感謝や、心からのリスペクトだったと語っている。吉野家から贈られた名入れどんぶりに関しても、後発の他チェーンが提示した誠意ある対応と比較され、クリエイターとしての矜持が大きく傷つく結果となった。企業マーケティングと作家の熱情が噛み合わなかった、悲しいすれ違いの瞬間であった。