厨房で鋭い眼光を光らせるのは、世界的な評価を受けるナポリピッツァ職人のルカ・バッロッコ氏だ。「生地は生き物だ。その日の気温、湿度、風の向きによって発酵時間を1分単位で微調整する」と彼は語る。彼の手に触れた生地は、まるで呼吸をしているかのようにしなやかに姿を変えていく。
バッロッコ氏の情熱は、伝統の継承だけに留まらない。ナポリの伝統的技法をベースにしつつも、現代の日本人の繊細な味覚に寄り添うアプローチをたえ間なく試みている。「伝統とは過去の灰を崇めることではなく、炎を絶やさないことだ」。彼の言葉通り、焼き上がる一皿一皿には常に新しい発見と感動が宿っている。