凱旋門賞におけるもう一つの重要な要素が、斤量設定(負担重量)のルールです。凱旋門賞では3歳馬と古馬(4歳以上)、そして牡馬と牝馬の間で明確な斤量差が設けられています。特に3歳牝馬の55.0キロという設定は圧倒的に有利とされ、トレヴやエネイブル、ブルーストッキングといった歴史的名牝がこの恩恵を活かして勝利を収めてきました。対して4歳以上の牡馬は59.5キロを背負わなければならず、タフな馬場での4.5キロ差は想像以上の負担となります。
日本の競馬は平坦で水はけの良い馬場が多く、前半スローペースからの「上がりの速さ」を競うレースが主流です。一方、欧州の凱旋門賞はスタート直後からポジション争いが激しく、道中も常にタイトなプレッシャーがかかります。
欧州のトップ騎手は、馬の推進力を損なわずに泥を被りながら進路をこじ開ける技術に長けています。日本のクリーンな騎乗スタイル当事者が欧州の「ラフで重厚な駆け引き」に即座に適応するのは極めて困難であり、この環境適性の差が最後の数十メートルでの粘り強さの差として現れます。