青い海に白い大鳥居が映える桜井二見ヶ浦は、今なお糸島を象徴する絶対的なアイコンだ。夏至の夕暮れ、夫婦岩の間に夕日が沈む瞬間は息を呑むほど美しい。また、山間へ車を走らせれば、白糸の滝の清涼な水飛沫とマイナスイオンが訪れる者を包み込む。じゃらんnetなどのレビューでも常に上位を独占するこれら王道スポットの引力は、時代が変わっても色褪せることがない。
だが、現在の糸島を真に楽しむなら、一般的な観光ガイドのページをめくるだけでは不十分だ。近年、感度の高い旅人が目指すのは、入り組んだ半島の内陸部や、小さな漁村の路地裏にひっそりと佇む隠れ家グルメやプライベートサウナである。無農薬野菜をその日の収穫に合わせて調理する完全予約制のレストランや、波の音だけがBGMの隠れ家カフェ。看板すら出していない店に辿り着いたとき、旅人は糸島という土地の本当の深みに触れることになる。