江戸幕府が当道座に認めた最大の経済的保護は、「専業権」と「座頭金(ざとうがね)」と呼ばれる金融特権でした。
幕府は、視覚障害者の生活基盤を安定させるため、鍼・灸・按摩(あんま)の施術権限を当道座所属の盲人に独占的に認めました。町中で健常者が無許可であんまを開業することは厳しく禁じられており、これが盲人たちの安定した現金収入源となりました。
そしてもう一つ、社会に強烈なインパクトを与えたのが「座頭金」です。これは当道座の構成員が営む貸金業(金融業)のことですが、幕府は彼らの債権回収に対して極めて強力な法的保護(先取特権)を与えていました。
一般の町人同士の借金トラブルであれば、幕府は「相対済令(あいたいずましれい)」を出して民事不介入の姿勢をとることが多々ありました。しかし、座頭金だけは例外とされ、債務者が返済を怠った場合は奉行所が武士であっても容赦なく差し押さえや処罰を実行したのです。
この回収確実性の高さを背景に、座頭金は年利20〜30%を超える高利貸しへと発展しました。資金繰りに苦しむ大名や旗本・御家人はこぞって座頭金を頼り、結果として多くの武家が盲人の高利貸しに頭が上がらないという、身分社会の逆転現象が生じることになりました。