なぜ腹部の痛みと同時に、めまいや意識消失が起きるのか。鍵を握るのは、脳幹から腹部臓器までを広く支配する副交感神経の要、「迷走神経」だ。
かつてNHKスペシャル「人体」でも深く描写されたように、私たちの体内では臓器と自律神経が休むことなく緻密な情報交換を行っている。しかし、腸管が強く収縮して強い腹痛や便意が生じた際、その刺激が迷走神経を通じて脳幹へ過剰に伝達されることがある。自律神経医学の分析によれば、この過剰な情報に対して脳が誤作動を起こし、副交感神経を極端に優位にしてしまう。その結果、心拍数が急減し、全身の血管が緩んで血圧が急激に降下。脳への血液供給が途絶え、眩暈や失神に至るのだ。