1回のアクションに4000万円。この額は、一般的なサラリーマンの生涯賃金の数分の一に相当する。冷静に考えれば狂気の沙汰とも思えるこの価格設定だが、当時の馬主や生産者たちにとって、それは決して無謀なギャンブルではなかった。なぜなら、セレクトセールに上場されたディープインパクト産駒は、容易に億単位の価格で落札されていたからだ。
初期投資としての種付け料が高額であっても、生まれた仔馬がそれ以上の価格で売れる、あるいは競馬場でそれ以上の賞金を稼ぎ出す。このシンプルな方程式が成立していたからこそ、市場は熱狂した。結果として、ディープインパクトは種牡馬として11年連続のリーディングサイアーに輝き、その投資価値が本物であったことを証明し続けたのである。