関西の食文化を長年見つめ続けてきたフードコラムニストの門上武司氏は、京都の喫茶店が持つ特異な吸引力について、「ただ珈琲を飲む場所ではなく、店主の美学と客の美意識が共鳴する劇場である」と評している。その美意識の頂点に君臨するのが、伝統の茶文化と洋菓子の技法が融合した抹茶スイーツだ。
宇治の老舗茶舗から直送される極上の点前用抹茶を惜しみなく使ったパフェやテリーヌは、甘味の奥に確かな苦味とうま味が同居する。京都高島屋 S.C.の周辺エリアにも、洗練されたプレゼンテーションで五感を刺激する気鋭のサロンが軒を連ねており、観光客のみならず地元の食通たちをも唸らせている。
素材のポテンシャルを極限まで引き出した濃厚なフォンダンショコラに、焙煎度の異なる浅煎り珈琲をペアリングする――。そんな研ぎ澄まされたマリアージュが、現代の京都喫茶のスタンダードになりつつある。