日本国内では講談社から刊行され、社会現象を巻き起こした『ワイルド・スワン』。事実の重みだけで読む者を圧倒するこのノンフィクションは、発表から年月を経た今なお色褪せない強度を放ち続けている。
映画産業において、近現代史の暗部を商業ベースで直視することは常に巨大なリスクを伴う。それでもなおスタジオ各社が巨費を投じて製作に踏み切るのは、歴史の記憶を風化させないという強い意志と、圧倒的なストーリーテリングに対する確信があるからに他ならない。商業主義とジャーナリズムの境界線を切り拓く試みとしても極めて刺激的だ。