「月曜日に右目の痒みと充血が始まり、市販の目薬をさしていたら、木曜日の朝には左目も真っ赤に腫れ上がって激痛が走った」――。これは眼科を受診した患者から頻繁に聞かれる典型的な証言です。
臨床現場において、結膜炎が片目から両目へ広がる理由のほぼ100%は「手指や生活備品を介した接触感染」です。右目を触った手で無意識に左目をこすってしまう、点眼薬の容器の先端がまつ毛やまぶたに触れて薬液ボトル内で病原体が繁殖し反対の目に移る、洗面所のタオルや枕カバーを介して移行する、といった日常の些細な動作が感染経路となります。
特にアデノウイルスは「エンベロープ」と呼ばれる脂質膜を持たないノンエンベロープウイルスであるため、一般的なアルコール消毒薬に対して高い抵抗性を持ちます。通常のアルコールジェルを手揉みした程度では死滅せず、机の表面やドアノブに付着した状態で数日から1週間以上も感染力を維持し続けることが実験データで実証されています。
感染拡大を遮断するためには、逆性石鹸やアルコールに過信せず、「流水と石鹸による30秒以上の徹底した手洗い」を頻回に行い、ペーパータオルを使用すること、そして家族間でのタオルの完全分別が欠かせません。