球場全体の雰囲気を一変させたのは、アルプススタンドからの大応援団だ。沖縄尚学の攻撃になると、甲子園には独特の指笛の音が鳴り響き、南国の熱気がレフトスタンドから波のように広がっていく。ハイサイおじさんのリズムに乗った手拍子は、相手投手への無言のプレッシャーとなって襲いかかる。
これに対し、横浜高校の三塁側アルプスは圧倒的な吹奏楽の重低音で応戦した。一音一音に力強さが宿る伝統の応援歌が響くと、グラウンド上のナインの表情から硬さが消え、集中力が研ぎ澄まされていく。スタンドの熱量とプレーがシンクロする瞬間、甲子園は球場ではなく巨大な劇場へと変貌を遂げていた。