エンターテインメントとしての格闘技演出は、2000年代と2026年現在とで劇的なパラダイムシフトを遂げました。この演出潮流の変化も、高田延彦のフェードアウトを後押しした要因の一つです。
PRIDE全盛期は、派手な煽りVTR、爆炎、スモーク、そして大物タレントやレジェンドによる大仰な開会宣言といった「スペクタクル感」が視聴者を惹きつける最大の武器でした。大晦日の民放各局が繰り広げた視聴率戦争において、お茶の間のライト層の視線を5秒で奪うためには、高田延彦の赤ふんどしと「出てこいや!」の絶叫が絶対に必要な起爆剤だったのです。
しかし、NetflixやABEMA、U-NEXTを中心とした有料配信主体のビジネスモデルへと完全に舵を切った現代において、ファンが求める演出は劇的に変化しました。視聴者の多くは、過剰な演出やバラエティ色を好まず、UFCをはじめとするグローバル標準の「リアルなアスリートの技術戦」や「選手個人のドキュメンタリー」をダイレクトに求める傾向を強めています。
SNS上でも「昔のふんどし太鼓の熱狂は奇跡だったが、いまの洗練された入場演出も格好いい」「高田さんの叫びはあの時代だからこそ神格化された」という冷静な分析が多く見られます。時代が求める興行の空気が「ド派手なプロレス的祝祭」から「研ぎ澄まされたスポーツエンタメ」へと移り変わった事実を、高田自身が最も客観的に受け止めていたと言えます。