パームの物語における最大のハイライトは、キルアとの死闘の中で訪れる。感情を失ったはずのパームに対し、ボロボロになりながらも必死に語りかけるキルア。涙を流しながら「ゴンにはお前が必要なんだ!」と叫ぶキルアの涙が、パームの内に眠る人間としての心を目覚めさせた。
「私は……パーム=シベリアだ!」という叫びとともに自我を取り戻した瞬間、彼女はキメラ=アントの洗脳を打ち破った。そして物語の終盤、冷酷な異形となりながらも人間の慈悲を保ち続け、死にゆく王メルエムとコムギの最期を見届ける重要な役割を担う。この決断こそ、キメラ=アント編の悲劇的な美しさを象徴する圧巻の幕引きであった。