現代のアトリエで主流となったアクリル絵の具は、優れた速乾性と耐水性でクリエイターを魅了している。しかし、アクリル絵の具には「水分の蒸発と樹脂の定着により、乾くとトーンがわずかに暗く沈む」という固有の物理的特性が存在する。
前述のターナー色彩やサクラクレパスが手掛ける高品質なアクリル絵の具を扱う際は、この乾燥後の濃度変化を最初から計算に入れておくことが不可欠だ。パレット上で「少し明るすぎるかもしれない」と感じる段階で混色をやめておくのが、キャンバス上で乾いた後に狙い通りの茶色を着地させるコツである。