物語終盤、全面戦争の極限状態において描かれたふたりのドラマは、従来の少年漫画の文脈を心地よく裏切るものだった。死柄木吊ら率いる敵連合の一員として戦場に立った彼女と、ヒーローを志す麗日お茶子。二人の対峙は、単なる正義と悪の衝突ではない。「普通」の枠組みから弾き出された者と、その痛みに寄り添おうとした者の魂のぶつかり合いだった。
瀕死の重傷を負ったお茶子に対し、自らの血液を輸血して命を救うという衝撃の選択。他者の血を吸う変身の“個性”を持つ彼女にとって、自らの血を差し出す行為は存在そのものを引き渡すに等しい。誰かの血を奪うことでしか愛を表現できなかった少女が、最期に己の生命を与えて誰かを生かす。ここに、あまりにも切なく美しい救済のドラマが完結した。