ピクサーの名作映画『インサイド・ヘッド』が鮮やかに描いたように、悲しみや怒り、焦燥感といった不快な情動は、人間が心身のバランスを保つために欠かせない防衛機制である。ネガティブな感情を「あってはならないもの」として力づくで抑え込もうとすると、感情は地下水のように澱み、やがてより大きな破壊力を持って噴出する。
心理学者アルフレッド・アドラーの思想を振り返ることも、大きな助けとなる。アドラー心理学が説く「課題の分離」を適用すれば、今日起きたアクシデントの多くは、自分自身のコントロールが及ばない外部の変数に過ぎない。電車の遅延も、他者の不機嫌も、自分の責任ではないのだ。夜にはNetflixで良質な物語に没入し、感情を無理に整えようとせず客観的な鑑賞者として受け止める。それだけで、無駄な自責の念から解放される。