核兵器が起爆した瞬間に発生するエネルギーは、通常の火薬とは比較にならない複合的な破壊現象を引き起こします。エネルギーの配分はおおむね「爆風(約50%)」「熱線(約35%)」「初期放射線(約5%)」「放射性降下物などの残留放射線(約10%)」に分かれます。核兵器の威力シミュレーションを行う際、これら4つの要素がそれぞれ同心円状に異なる到達距離を持つ点を理解することが重要です。
第一に発生するのが「火球」と「初期放射線」です。起爆から100万分の数秒で数千万度を超える超高温の火球が出現し、強烈な中性子線やガンマ線が四方に放出されます。この火球に触れた物体は瞬時に蒸発・炭化し、爆心地の致死エリアでは地下深くにいない限り生存は極めて困難となります。
第二に到達するのが「熱線(熱放射)」です。光速で伝播するため、爆心地が見通せる場所では閃光と同時に強烈な熱に晒されます。露出した皮膚には重度の火傷を負わせ、木造家屋やカーテン、可燃物を一瞬で発火させます。
第三に押し寄せるのが音速(約340m/s)で伝わる「爆風(衝撃波)」です。超高圧の空気の壁が建物を薙ぎ倒し、粉砕されたガラス片や瓦礫が時速数百キロの凶器となって広範囲に飛散します。熱線と爆風の到達距離には時間差があるため、閃光を見てから爆風が届くまでのわずかな猶予が初動の生死を分けます。
そして第四の脅威が、爆発後に大気中へ巻き上げられた粉塵が風に乗って降り注ぐ「放射性降下物(フォールアウト)」です。数時間から数日にわたって広大なエリアを汚染し、目に見えない被曝の脅威を与え続けます。