数字上の寿命が劇的に伸びる一方で、手放しでは喜べない深刻な課題も浮き彫りになっています。その筆頭が「健康寿命」との乖離です。日常生活を制限なく自立して送ることができる期間を示す健康寿命において、韓国は約70.5〜73.1歳前後で推移しており、平均寿命との間に約10〜13年もの「要介護・闘病期間」が生じています。
寿命の延伸スピードに健康寿命の延伸が追いついておらず、晩年の医療費負担や介護問題が社会的な重荷となっています。さらに韓国を揺るがしているのが、世界で最も急速に進む超少子高齢化の波です。合計特殊出生率が0.7台前半まで落ち込む中、高齢化率(65歳以上人口の割合)は2026年前後に20%を超える「超高齢社会」へ突入し、2050年には世界最高水準の高齢国家になると試算されています。
また、急速な長寿化に社会保障制度の整備が追いつかなかった結果、韓国の高齢者の相対的貧困率は約40%とOECD諸国の中で突出して高い数値を記録しています。「世界最速の長寿化」を達成した韓国社会は今、延伸した寿命の「質の向上」と持続可能な福祉モデルの再構築という、未曾有の構造的課題に直面しています。