捜査員が犯人グループに最も肉薄したのは、丸大食品およびハウス食品への脅迫事件における身代金奪取作戦の現場でした。国鉄(現JR)東海道本線の車内や名神高速道路のサービスエリアなど、犯人側が指定した受け渡しルートの監視任務中、複数の捜査員が極めて不審な同一人物と接触しています。
その人物こそ、後に重要参考人 似顔絵として全国に公開され、日本中に強烈な記憶を刻みつけた「キツネ目の男」です。細く吊り上がった目、約175cm前後の身長、角刈り風の短髪、そして一切の動揺を見せず周囲を観察する冷徹な佇まい。捜査員の証言によると、男は捜査車両のナンバーや警察官の視線を見抜くような鋭い観察眼を持っていたと記録されています。
京都駅構内や草津パーキングエリア付近で幾度となく警察の包囲網に入りながらも、身代金取引の現場確認が取れる前の「職務質問の躊躇」や連絡不備といった指揮系統の隙を突き、男は夜の闇へと姿を消しました。さらに、現金運搬役のトラックを尾行していた不審車両(白のファミリア)を滋賀県警のパトカーが追跡するも取り逃がすなど、痛恨のミスが連鎖。1985年8月、この失態を苦にした滋賀県警本部長が焼身自殺を遂げるという悲劇的な事態にまで発展しました。