二人の関係を紐解く上で欠かせないのが、感情を持たない鬼・童磨の歪んだ内面だ。人間としての心が存在せず、真の喜びも哀しみも知らずに生きてきた童磨だが、最期に胡蝶しのぶから突きつけられた強い拒絶と毒殺の執念に触れた瞬間、生まれて初めて「恋」のような未知の感情を抱く。この皮肉な巡り合わせこそが、二人の因縁に異様な深みを与えている理由である。
一方、しのぶにとって童磨は愛する姉・カナエを奪った憎き宿敵に他ならない。しかし、怒りと怨嗟を胸に秘めながらも冷静に自らを毒薬の器として差し出すしのぶの覚悟は、童磨の虚無に強烈な楔を打ち込んだ。この対極的な感情の激突が、ファンの間で単なる敵対を超えた複雑な感情の繋がりとして語り継がれる最大の要因なのだろう。