駅周辺を歩くと、鼻腔をくすぐる香りのバリエーションに驚かされる。昔ながらの純喫茶や昭和レトロな洋食店が暖簾を守る真横で、本格的なベトナム料理店やスリランカカレーの専門店、ペルー料理の看板が異彩を放つ。
大和市は古くから定住外国人が多く暮らす多国籍な土壌を持つ。南林間はそのカルチャーが最も身近に、かつ美味しく昇華されたエリアの一つだ。チェーン店で画一化された駅前とは違い、店主の顔が見える個人飲食店が網の目のように路地を埋める。
週末の昼下がり、テイクアウトのバインミーを片手に歩く若者と、昭和創業の喫茶店でサイフォン珈琲をすする常連客が同じ歩道ですれ違う。気取ったハイエンドな外食ではなく、日常の延長にある豊かでディープな食体験。この胃袋を掴まれる感覚こそが、一度住み始めた住人を離さない強力な引力になっている。