灯台から山手へと続く尾根筋には、明治政府が首都防衛のために築いた観音崎砲台の跡地が点在する。重厚なフランス積みレンガのトンネルをくぐると、外界の音がふっと途絶え、ひんやりとした空気が肌を撫でる。堅牢な弾薬庫や砲座跡のディテールは、軍事機密として長らく地図から消されていた時代の生々しい緊張感を今に伝えている。
歴史の重厚さとは対照的に、ポップカルチャーの文脈でもこの地は特別な意味を持つ。南端に位置する「たたら浜」は、名作『ゴジラ(1954年映画)』において、あの巨大怪獣が日本本土に初めてその足跡を刻んだ聖地として語り継がれている。かつて浜辺に設置されていたゴジラの足跡を模した遊具の記憶は、横須賀のサブカルチャー史を彩るアイコニックなエピソードとして人々の記憶に刻まれている。