プレイヤーとしての頂点に安住することなく、表現の領域を劇的に拡張したのが傑作ミュージカル『ファントム』である。タイトルロールを演じながら自ら舞台演出を手掛けるという、前代未聞のデュアルロールに挑戦した。
舞台機構の隅々にまで張り巡らされた美意識、光と影のコントラストを極限まで計算した空間造形。観客だけでなく批評家をも唸らせたのは、役者の感情を最大限に引き出す演出家としての卓越した手腕だった。自らが演者であるからこそ理解できる呼吸とダイナミズムを具現化し、グランドミュージカルの新たなスタンダードを打ち立てた。