写真家・川島小鳥の作品群が放つ圧倒的な生命力と愛おしさは、被写体との親密な距離感から生まれている。カメラと被写体の間に壁を作らず、手の届く距離で息遣いを感じながらシャッターを切るスタイルは、カップルによるセルフポートレートの理想形と言えるだろう。完璧に整えられたスタジオライティングでは決して捉えられない、頬を染める笑い声や乱れた前髪にこそ、写真の核心がある。
優れたポートレート写真は、鑑賞者に「その場に流れていた時間」を追体験させる。二人でカメラの画面を覗き込みながら構図を作るのではなく、片手が塞がったままノールックでシャッターを切ってみる。多少のブレやピントの甘さすらも、二人の熱量を閉じ込めたテクスチャーとして肯定するまなざしが、写真に唯一無二の深みを与える。