1940年、米オハイオ州コロンバスに生まれたジャック・ウィリアム・ニクラウスは、10歳で本格的にゴルフを始めました。早くから頭角を現した彼は、全米アマチュア選手権を2度制覇したのち、1961年にプロ転向を果たします。翌1962年の全米オープンで、当時絶大な人気を誇っていたアーノルド・パーマーをプレーオフの末に破り、22歳の若さでメジャー初優勝を飾りました。
そこから始まった快進撃は、まさに圧巻のひと言です。1966年には早くもキャリア・グランドスラム(4大メジャー全制覇)を達成。PGAツアー通算73勝、そして誰もが目標として掲げる男子メジャー選手権通算18勝という不滅の記録を打ち立てました。特筆すべきは、1986年のマスターズです。46歳という年齢から「過去の人」と囁かれるなか、サンデーバックナインで驚異的な猛チャージを見せて奇跡の逆転優勝。オーガスタのパトロンを熱狂の渦に巻き込んだ名シーンは、スポーツ史に残る最高傑作として語り継がれています。
ニクラウスの強さを支えたのは、強靭なフィジカル以上に卓越したコースマネジメントと鋼のメンタルでした。彼が遺した「ゴルフの80%は頭脳でプレーされる」という名言は、感情に流されず確率と戦略を徹底した帝王の哲学を端的に物語っています。