「事業を行っていない個人同士の売買でも領収書を発行しなければならないのか?」という疑問を抱く方は少なくありません。民法第486条には「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる」と明確に規定されています。
法律上、金銭を支払った側が受取証書(領収書)を求めた場合、代金を受け取った側は個人間であっても発行に応じる義務があります。支払者が領収書の発行を求めているにもかかわらず受取側が拒否した場合、支払者は領収書の発行が行われるまで支払いを拒絶する権利(同時履行の抗弁権)を行使できます。
現場の実態として、SNSや知恵袋、フリマアプリ等のユーザーコミュニティでは領収書を巡るトラブルの報告が散見されます。
「メルカリやヤフオクなどの個人売買で落札者から手書きの領収書を要求されたが、本名や個人住所を開示したくない」「銀行振込で支払ってもらったのに別途領収書を求められた」といったケースです。
実務上の法解釈として、クレジットカード決済や銀行振込の場合、「振込明細書」「通帳の記帳記録」「クレジットカードの利用明細書」が金銭授受の法的な証拠として認められます。二重発行による不正利用を防ぐ観点からも、振込取引に対して領収書を発行する場合は「〇年〇月〇日 銀行振込分」と受取方法を但書に明記し、領収書発行が必須ではない旨を事前に取引規約等で合意形成しておくのが賢明です。