物語の最大の焦点は、伝説の大作「紅天女」の上演権をかけたマヤと亜弓の最終審査である。梅の木の精霊と一人の仏師の時空を超えた愛を描くこの劇中劇は、もはや現実の舞台演劇の枠組みすら凌駕する神話的スケールを誇る。
すべてを直感で掴み取る憑依型の天才・北島マヤに対し、血のにじむ努力と研ぎ澄まされた美学で頂点を目指す姫川亜弓。中盤以降、亜弓を襲った視力の危機という過酷な運命が、二人の対決にさらなるドラマ性を吹き込んだ。
紅天女のふるさとである阿古夜の里でそれぞれが掴んだ「風」「火」「水」「土」の自然の息吹。どちらが真の紅天女を演じ切るのか。単なる勝敗を超え、魂の交感を果たす二人の姿は、連載開始から蓄積されたすべての感情を解放する瞬間となるはずだ。