報道がさらに過熱した背景には、取材班が提示したとされる具体的な物的証拠の存在がありました。その筆頭が、陣営内部の密談を記録したとされる「43分の音声データ」と、動画拡散のインセンティブ設計に関与したと取り沙汰された暗号資産「サナエトークン」の存在です。
しかし、取材が進むにつれてこの音声データそのものに「AIによる合成音声ではないか」という重大な疑義が生じ始めました。複数の音響解析専門家やデジタルフォレンジックの専門チームが波形や息継ぎの間隔、ピッチの不自然な連続性を指摘。さらに、動画制作の発注元として名指しされた関係者側からは「そのような打ち合わせ自体が存在しない」「発言内容が意図的に切り貼り、あるいは生成されたものだ」とする強い反論が相次ぎました。
同時に取り沙汰された「サナエトークン」についても、高市氏本人や正規の選挙対策本部が公認した事実はいっさい確認されておらず、勝手に名前を冠した便乗型のミームコインである可能性が濃厚となりました。発信元の特定を進める過程で、陣営の指示ではなく、閲覧数(インプレッション)稼ぎや暗号資産の価格吊り上げを狙った第三者による「情報商材的アフィリエイト工作」の側面が強く浮き彫りになっていったのです。