高齢者の食欲不振は病気のサイン?命を守る危険な兆候と最新の食事対策

高齢者の食欲不振は病気のサイン?命を守る危険な兆候と最新の食事対策

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医療機関にかかる際、「何科を受診すればよいのか」は多くの家族がつまずくポイントです。原則として、基礎疾患を把握している「かかりつけ医」または「総合内科・老年内科」を初診先に選びます。全身状態のスクリーニング検査(血液検査、尿検査、胸部・腹部X線)を行い、感染症や内臓疾患の有無を特定するためです。口の中に痛みや義歯の不適合がある場合は「歯科・口腔外科」、飲み込み時のムセが主訴であれば「耳鼻咽喉科(嚥下外来)」やリハビリテーション科での嚥下造影検査(VF)が適応となります。

受診時によく家族から出される要望が「点滴を打って栄養をつけてほしい」というものです。しかし、一般的な末梢点滴で投与できるカロリーはごくわずか(500mlの輸液1本で約100kcal程度、おにぎり半分強)であり、主たる目的は水分と電解質の補給に過ぎません。

とりわけ高齢者の終末期(自然な老衰の過程)における点滴の適応には極めて慎重な判断が必要です。枯れるように穏やかに旅立とうとしている終末期の身体に過剰な水分を人工的に流し込むと、心臓や腎臓が処理しきれず、手足の重度な浮腫(むくみ)、肺水腫、胸水・腹水の貯留を引き起こし、呼吸困難感を激化させてかえって本人の苦痛を増大させるリスクがあります。

日本老年医学会などのガイドラインでも示されている通り、終末期において食べられないことは病気ではなく「命の自然な幕引きに向けた生理的適応」です。飢餓状態になると脳内でエンドルフィンなどの鎮痛物質が分泌され、本人は穏やかな多幸感の中で苦痛を感じにくくなるとされています。「食べさせることが本人のためになるのか、それとも家族の罪悪感を埋めるための医療になっていないか」という心理的バウンダリー(境界線)を家族間で共有し、過度な延命的処置にとらわれない緩和ケアの視点を持つことが肝要です。

佐々木 一輝
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佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。