本作が日本ドラマ史に残る傑作と評される決定的な理由は、主演・佐藤健と兄役・鈴木亮平が見せた常軌を逸したレベルの役作りと肉体表現にあります。
佐藤健は「料理人の役である以上、料理シーンで手元の吹き替え(代役)を使いたくない」という強い信念のもと、クランクインの数カ月前から服部栄養専門学校に通い詰めました。自宅でも毎日キャベツやタマネギの千切りを何十玉もこなし、撮影本番ではプロの料理人すら唸るほどの華麗な包丁さばきと、鍋を振る滑らかな所作をすべてノー吹き替えで演じきっています。現場関係者の証言によると、佐藤の手指は包丁ダコや細かな切り傷が絶えなかったと伝えられています。
さらに世間に凄まじい衝撃を与えたのが、病魔に侵されていく兄・周太郎を演じた鈴木亮平の肉体改造です。鈴木は健康的な青年期を演じる段階から撮影の進行に合わせて徹底した食事制限と有酸素運動を敢行。最終的に半年間で体重を76kgから56kgへと約20kg減量させました。
当時のインタビューや特番で鈴木自身が語ったところによると、減量末期には「空腹のあまり街中のあらゆる看板が食べ物に見えた」「人と会話する気力すら削ぎ落とされる極限状態だった」と振り返っています。頬が削げ落ち、肋骨が浮き出るその姿は、演技を超えて死線をさまよう結核患者そのものの生々しさを画面に刻み込み、視聴者の涙を絞り出しました。