世界各地のテーマパーク産業がデジタル技術やVRの導入を進める中で、本物の建築物と空気感にこだわるアナログなアプローチが再評価されている。富士急ハイランドのアトラクション群において異彩を放つこの施設は、己の足で暗闇を歩み進めるウォークスルー型アトラクションの金字塔と言っていい。単に視覚的な脅かしに依存するのではなく、老朽化した病院独特の腐敗臭や、壁の隙間から吹き付ける不気味な風など、五感すべてを刺激する精巧な仕掛けが巡らされている。
このような没入体験は、近年のホラーエンターテインメントにおける世界的な潮流とも合致している。画面越しのアニメーションを見るだけでは味わえない、生身の体が感じる危機感。一歩進むごとに足元から伝わる振動や、闇の奥から聞こえるかすかな喘ぎ声が、挑戦者の脳にダイレクトに本能的な危険信号を送り続けるのだ。