穂波家を語る上で避けて通れないのが、夫・真太郎の常軌を逸した「カメラへの執着」です。娘の成長を一瞬たりとも逃すまいと高級カメラ(ライカなど)を構え、まる子やたまちゃんの私生活、食事中、さらには学校行事の最前線にまで乱入するお父さん。この暴走に対する「お母さんの制裁」こそが、一家の定番コメディリリーフとなっています。
普段は滅多に取り乱さないお母さんが激怒する理由は極めて明快です。「家計を圧迫する無断の高額機材購入」と「娘や周囲へのプライバシー侵害・迷惑行為」という、家庭崩壊につながりかねない境界線を夫が踏み越えた瞬間にのみ、静かな、あるいは雷のような怒りが炸裂します。夫のカメラを没収して棚の奥深くに封印したり、有無を言わせぬ正論で夫を正座させたりする姿は、家族の秩序を守る防波堤そのものです。
一方で、夫婦の結びつきは極めて強固です。作中や関連エピソードで触れられる両親の馴れ初めでは、若かりし頃のお父さんがお母さんの美しさと優しさに一目惚れし、熱烈なアプローチの末に結ばれた経緯が描かれています。夫がカメラにのめり込む以前から注がれていた一途な愛情を理解しているからこそ、お母さんも頭ごなしに趣味を否定し去るのではなく、適度なガス抜きを許容しながら温かく見守り続けているのです。