「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」——誰もが一度は耳にしたことがある親しみやすい俳句の裏で、彼はどのような人生を生き抜いたのか。継母との骨肉の家産争い、愛する我が子や妻との早すぎる死別、そして晩年の大火による家財の喪失。小林一茶の人生は、まさに悲劇と試練の連続だった。
藤沢周平の小説が炙り出したのは、教科書的な聖人君子ではない。嫉妬や執着、性への欲求をも包み隠さず抱えた、あまりにも人間くさい男の素顔だ。身内の確執に苦しみながらも、彼は虫や蛙といった弱き生き物に自分を重ね合わせ、ユーモアと哀愁が入り混じった句を詠み続けた。映画は、この過酷な運命に抗い続けた男の「愛と執念」の真実に迫っていく。