法人の役員が社会保険に加入する義務があるかどうかを考える際、まず押さえるべき大原則は「常勤役員は加入義務があり、実態としての非常勤役員は適用除外となる」という点です。しかし、この「原則不要」という言葉の解釈を誤り、トラブルに発展する企業が後を絶ちません。
一般のパート・アルバイト従業員であれば、正社員の所定労働時間・日数の「4分の3以上」勤務しているか、あるいは特定適用事業所における「週20時間以上・月額賃金8.8万円以上」といった明確な数値基準が存在します。これに対し、役員には労働基準法上の労働時間という概念が存在しないため、単純なタイムカードの時間数だけで判定することができません。
厚生年金保険法および健康保険法の解釈において、非常勤取締役が被保険者となるか否かは、昭和55年および昭和56年に旧社会保険庁が出した行政通達(内かん)に基づく「総合的判断」によって決定されます。名目上は「非常勤」と株主総会で決議されていても、実質的に法人経営の中核を担い、経常的に意思決定を行っている場合は、常勤役員と同等とみなされ社会保険の加入義務が発生します。