撮影終了後、映画史の遺産であるファルコンの巨大パペットは、ドイツ・ミュンヘン近郊にある「ババリア・フィルム・スタジオ(Bavaria Filmstadt)」に移設され、現在も観光客向けの常設アトラクションとして展示されています。
現在でも来場者は実際にファルコンの背中にまたがり、ブルーバック合成による記念飛行映像を体験することが可能です。しかし、公開から40年以上が経過した現在、ネット上では「現在のファルコンの姿が衝撃的すぎる」「子どもの頃の思い出が崩壊した」という声が定期的に話題になります。
長年にわたる何万人もの観光客との接触や、経年劣化によって毛並みはくすみ、表面のウロコには修復痕が目立ちます。さらに、スタジオ側による度重なるメンテナンスや再塗装によって、当時のスクリーンで見せた繊細な陰影とは異なり、どこか生々しく固定された笑顔が「不気味」「夜見たら怖い」というリアクションを生んでいるのです。
また、子どもの頃に映画を観て「ファルコンが実はトラウマだった」と語る大人が少なくない理由について、心理学およびキャラクターデザインの観点から以下の要因が挙げられます。
- 不気味の谷現象(Uncanny Valley):犬という身近な哺乳類の顔立ちに、爬虫類のような長大な胴体と人間のような巨大な眼球が融合しているため、脳が無意識に違和感と警戒心を抱く。
- 威圧的な巨躯と低音ボイス:画面いっぱいに広がる巨大な顔と、英語版のアラン・オッペンハイマーや日本語吹替版(黒沢良、石田太郎、大塚周夫など)の重厚で響く低音ボイスが、幼心に威圧感を与えた。
- 常時固定された笑み:どんな深刻な状況でも口角が上がったままのアニマトロニクス特有の表情が、見る人によって冷徹な狂気のように錯覚された。