本作が巻き起こした大炎上の最大のトリガーは、事前のプロモーション戦略と実際の作品内容に生じた決定的なギャップにありました。予告編やポスタービジュアルでは、未曾有の国難に立ち向かう政府や特務隊の緊迫した攻防を描く、まるで『シン・ゴジラ』を彷彿とさせる重厚なポリティカル・サスペンス&リアル志向の特撮パニック映画として宣伝されていたのです。
ところが、いざ劇場で幕を開けると、展開されたのは三木聡監督の真骨頂であるナンセンスで不条理なコメディでした。巨大な怪獣の死体が放つ強烈な悪臭をめぐる下ネタ、死体から生えた謎の巨大キノコ、事態を前にして保身と無意味な会議に終始する閣僚たちのコントのような掛け合いが延々と続きます。硬派なリアリズムと知的サスペンスを期待して劇場へ足を運んだ一般層や特撮ファンは強烈な肩透かしを喰らい、裏切られたという怒りがネット上で爆発することになりました。
公開初日の朝からTwitter(現X)や映画レビューサイトには辛口な感想が殺到し、瞬く間にトレンドを席巻しました。ギャグ映画であることを隠してシリアス大作として売り出したプロモーションの方向性が、結果として映画自体の評価を必要以上に引き下げてしまう悲劇を生んだといえます。