両者の違いを解き明かす鍵は、グラスの中に注がれた麦芽の割合と、そこに投入される原料の組み合わせにある。かつて酒税法において「ビール」と定義されるためには、原料となる麦芽の使用比率が50%以上(過去には67%以上)である必要があった。これに対し、税負担を抑える目的で生まれたのが「発泡酒」だ。麦芽比率を50%未満に抑えたり、既存のビールでは認められていなかった副原料を使用したりすることで、低い税率が適用される仕組みを利用した製品である。
一方、「新ジャンル」とも呼ばれる第三のビールは、さらに高度な技術革新から誕生した。麦芽をまったく使わずに大豆やエンドウタンパクなどの代替原料から醸造したタイプと、発泡酒に麦由来のスピリッツや大麦焼酎を加えたリキュールタイプの2種類が存在する。つまり、原材料の基本構造と醸造プロセスそのものが根本的に異なっているのだ。
店頭での価格差を生み出していた最大のカラクリこそ、この原材料の違いに基づいた段階的な税額設定だった。しかし、消費者が価格面での恩恵を享受してきた一方で、この違いは酒税の分類上、極めて人工的に作り出された区分であったことも否定できない。