2026年現在、悪性リンパ腫の治療環境はさらなる革新期を迎えています。従来の初回治療(R-CHOP療法等)で効果が不十分だった再発・難治性の症例に対しても、次世代の革新的アプローチが標準的な選択肢として確立されています。
その筆頭が「CAR-T(カーティー)細胞療法」です。患者自身の血液からT細胞(免疫細胞)を採取し、遺伝子改変技術を用いてがん細胞を特異的に攻撃する受容体(キメラ抗原受容体)を持たせた後、体内に戻すオーダーメイドの細胞医療です。従来の抗がん剤が無効となった難治性リンパ腫に対しても、劇的な寛解をもたらす治療法として臨床現場で定着しています。
さらに近年、目覚ましい成果を上げているのが「二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)」や「抗体薬物複合体(ADC)」です。二重特異性抗体は、がん細胞と体内の免疫T細胞の双方に同時に結合し、免疫細胞をがん細胞の至近距離へと誘導して攻撃力を爆発的に高めます。CAR-T細胞療法のように個別の細胞培養期間を必要とせず、「既製薬」として迅速に投与できる利点があり、通院での治療継続を可能にするなど、患者の生活の質(QOL)を大きく引き上げています。